2020年度

2021年3月25日

 ご卒業、ご修了おめでとうございます。323日(火)に山口大学の学位授与式が無事、挙行されました。今年度は新型コロナウイルス感染防止対策として、午前午後の2回に分けて分散開催(学部や研究科で分割)、さらに時間を短縮しての開催でした。どのようなやり方であれ、学位授与式を挙行できたことはたいへんよかったと思いますし、ほっとしております。大学の職員からも同じような声が聞かれます。その裏には、昨年、学位授与式を挙行できなかったことに対する申し訳ない気持ちがあります。昨年度の卒業生にはたいへん残念な思いをさせてしまいました。今年は卒業生、修了生の達成感満ち溢れる晴れ晴れとした笑顔を見ることができ、とてもうれしく思いました。山口大学で学び、卒業、修了したことを誇りに思っていただき、新しい生活に早く慣れ、それぞれの進む道で活躍してほしいです。

 会場の桜は五分咲き、大学キャンパスの桜は三分咲きといったところでしょうか。以前は桜と言えば入学式でしたが、ここ最近は卒業式が桜の季節になる傾向に。温暖化の影響でしょうか。

20210325-1.jpg学位授与式前の会場

20210325-2.jpg会場の桜

20210325-3.jpg大学キャンパス内の桜

 さて、学位授与式の翌日はもう一つの卒業でした。331日で定年退職のため理学部を去られる朝日孝尚教授(物理学)と岩尾康宏教授(生物学)に学部長室に来ていただき、定年退職の辞令をお渡ししました。お二方とも私が学生であった頃に山口大学に着任され、今まで山口大学のために多大な貢献をしてくださいました。私は個人的にもいろいろとお世話になりました。ありがとうございました。41日付で他学部に異動になる理学部総務企画係の古屋係長もいっしょに写真を撮影させていただきました。古屋係長にもいろいろとお世話になりました。これからも山口大学理学部をよろしくお願いいたします。お元気で。

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向かって左が朝日教授、右が岩尾教授、中央は古屋係長

2021年3月16日

 卒業・修了の判定や入試もほぼ終わりほっとしたのも束の間、私たち大学人は新入生を迎える準備へと一気に舵をきる時期です。未だにコロナ禍の影響が残り「新型コロナ感染症拡大に係る現地(理学部)対策本部」も解散できない中、いろいろな対策を講じる必要があります。昨年は初めてのことでしたが、今年は学習成果もあり、その準備が比較的静穏に進みます。その前に学位授与式(卒業式・修了式)も分割・短縮開催ではありますが挙行できそうです。ほとんどの学生にとって大学の卒業式・修了式は社会に出る最後のけじめの式、どうにか開催して笑顔で社会に送り出したいと思います。
 在学生も3年生や修士1年生は就職活動が本格化している時期ですが、他の学生は、今現在は授業もなく充電期間です。本来であれば旅行に行ったりいろいろと活動をしたりしたいところでしょうが、コロナ禍で行動が制限されます。ここは前向きに捉え、何か新しいことを始めてみてはとも思います。今は首都圏以外は緊急事態宣言が解除されていますので、実家に帰って家でおとなしく家族と過ごし、いろいろな話をするのもよいのではないでしょうか。
 そのような中、お隣の県の別々の国立大学に進学したお隣の家の兄弟が帰省しており、外で久しぶりにキャッチボールをしていました。二人が小学生の頃はよくみかけた風景でしたが、大学生になった兄弟が、コロナ禍の暗い雰囲気を吹き飛ばすような笑顔でキャッチボールをしている姿を見てほのぼのとした気持ちになりました。理学部の学生たちも笑顔を絶やさずに明るく過ごし、コロナ禍を無事に乗り越えてほしいです。

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2021年2月23日

 「あの人は引きが強い」、皆さんもこの言葉を耳にすることがあると思います。理学部の事務のM係長は私が理学部長を拝命したタイミングで理学部に異動して来られました。着任後まもなく種々のやっかいな業務上のトラブルに見舞われ、「Mさんは引きが強い」とか、「引きのM」と言われる始末。M係長に言わせると、引きが強いのは自分ではなく同じタイミングで新しく理学部長に就任した私だそうですが。本件、いわゆる「科学的な検証」は不可能でしょう。

 ところで「引きが強い」の「引き」の実体ははたして何なのでしょう?一応、物理学をかじっている私、やはりアプローチは物理的な検証から。ここでの「引き」とは引く力と考え、M係長の体重を60 kgと仮定し(少々のoverestimationはご容赦ください)、別の体重60 kgの人がM係長とソーシアルディスタンス2 mを隔てて立っているとき、M係長がその人を引き付ける「引きの強さ」は「万有引力による」として見積もってみると6.0 × 10-8 N N:は「ニュートン」と読み、力の大きさを表す単位)となります。

 そう言われても6.0 × 10-8 Nの力の大きさがどの程度のものかはわかりませんね。参考までに電子(−)と陽子(+)の間には引力(クーロン力)が作用しますが、0.1 nmの距離を隔てて存在する電子と陽子の間の引力は2.3 × 10-8 Nであり、上記万有引力と同程度。(「同程度ではなく3倍も違うではないか」と思われるかもしれませんが、今の場合あくまでも概ねを知るための見積もりであるので「桁が同じ」=「同程度」となります。)

20210223.jpg 電子とか陽子とかに働く力に例えられても、まったく参考にならずさらにわからなくなりましたね。というわけで、もう少しわかりやすい別の力に例えると、6.0 × 10-8 Nという力の大きさは一辺が0.14 mmの立方体形状の塩の粒に働く地球上での重力の大きさ程度です。そう考えるとM係長の万有引力による「引き」はあまり強くなさそうですね。そもそも万有引力が「引きの強さ」をもたらしていると考えると、M係長でなくとも同じ体重の人であればすべて同じはずです。(これが自然界に存在する物理法則というもの。)では、M係長はなぜ「引きが強い」のか。M係長には宇宙での「暗黒物質」のような未だに明らかになっていない物理がそこにあるのか。

 冗談はこの辺にして、言うまでもなくM係長(あるいは私?)の「引きが強い」問題については、自然科学ではなくたわいのない娯楽として楽しむ程度の問題ですね。もう少し頑張って人文社会学的にあるいは心理学のような別の分野で取り扱う問題か。「文理融合」とまではなかなかいかないようです。(「引きが強い」の引き付ける何らかの相手を60 kgの物体としていることもまったく根拠のない仮定です。)

 理学部の教育目標に「数量的スキル」を身に付けることがあります。定量的に考えることが可能なものは数値を使って定量的に考えようとする能力です。課題解決には必須な能力です。課題解決の手法として、今後はデータサイエンスが必須となるでしょう。データサイエンスに必要な基盤となる能力の一つは「数量的スキル」です。理学部の卒業生には「数量的スキル」を自分のもつ主要能力(別の角度から見ればセールスポイント)として社会で活躍してほしいです。

2021年2月9日

 最近、マスクのTVコマーシャルを見ました。今までほとんど見たことがありませんでした。これもコロナ禍の影響でしょう。
 そもそも使い捨てタイプのマスクですが、調べたところ明治時代からあったようです。一方で一般人が使い捨てマスクを使用し始めたのは1980年以降の花粉症対策からだとか。不織布を使ったものは2000年以降に普及し始めたようです。その後、PM2.5問題で使い捨てマスクの性能について注目され始めましたね。そこに新型コロナウイルス感染症の拡大で、再び脚光を浴びている使い捨てタイプのマスク、そこには新たなビジネスチャンスがあるというわけでしょうか。
 今現在、マスクの種類と性能がいろいろと報道されており、人々の関心も高まっているようです。メーカーによる開発も盛んになっており、使用する材料、マスク形状等、さまざまなところで研究開発が展開されているに違いありません。確かに使い捨てマスクを実際に使ってみると、使用する状況に応じて使いやすいマスクが異なることがわかります。すべての使用条件に合うマスクが今後求められると思いますが、そこにはさまざまな科学技術を投入する必要がありそうです。理学部の卒業生の皆さんもそういった現場で活躍されておられる方も多いと思います。マスクは今現在、使用頻度の非常に高い生活必需品ですね。
 さて、そのような今、理学部後援会から理学部と関係大学院の学生に使い捨てマスク1箱ずつを支給していただけることになりました。まずは3月末で卒業・修了する学生に指導教員を通じて支給していただきました。ありがとうございます。感謝です。4月以降も在籍する在学生には4月に支給してくださるそうです。

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指導教員から使い捨てマスクを笑顔で受け
取る学生。(山中副学部長の研究室にて)

2021年2月5日

 大学はこの時期はとてもあわただしい日々が続きます。後期の期末試験・評価、博士論文や修士論文の提出・審査、卒業論文提出・審査、卒業・修了判定、入試、・・・。
 2月1日は修士論文の締め切りでした。前の週の金曜日までに余裕をもって提出する学生、締め切り当日の午後になって申請書類に指導教員の捺印が必要であることを知って教員を探し回る学生たち。そういった様子を毎年見ると、ああ、またこの時期がきたなあ、4月から彼らも社会人になるのだなあと思います。コロナ禍でいつもと違い、いろいろと考えさせられた1年でしたが、この風景は例年通りでした。無事に社会に送り出すことができることに胸を撫で下ろすような思いでした。
 さて、久しぶりに山中副学部長から考えさせられる内容のポエムが届きました。



-じっくりと 考える-

懐かしい字

メール主流の 今 封書が届く

年1回の賀状でも ちょっぴり 背筋がピーンとする

なんだろう?

 

「4月から理学部生物学科が始動するとのこと、頑張ってください。

・・・(中略)・・・

新しい生物学科のために何をすればよいのかをじっくり考えてください。」

 

退職され 郷里から初めて頂戴した 封書

 

「じっくりと考えてください」  「じっくりと考える必要がある」 

何度も 何度も 繰り返される 

 

教員として、今、学生に何をすればよいのか

研究者として、今、自分しかできないことは、何か

理学部のために、学科のために、今、何をすれば良いのか

 

令和3年4月 新しい理学部 

ひとりひとりの 考える が 大事 

考える は 「理学」 の 得意とすることなのだから  


 

 かんがえる つぶやきながら かんがえる

ぼやきせがまれ 考えんとなぁ~(!?)


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2021年1月28日

 寒い日が続きますが、寒い時にほしくなるものといえば暖かい飲み物、そして、「ほっかほか」の食べ物。「ほっかほか」という表現に合う食べ物にはいろいろとありますが、私にとってその一つは「焼き芋」。山口大学の吉田キャンパス(本部のあるキャンパス)には農学部附属農場がありますが、そこで収穫されたサツマイモを使った焼き芋がときどき大学生協の売店で販売されます。すぐに売り切れる人気商品です。研究室の(女子)学生たちの好物であり、私も大好きですので、買ってきてみんなで食べます。

 食べ物の味は食感によって大きく左右されますね。昔、お世話になった先生が、チョコレートの食感がチョコレートの成分であるカカオ脂の結晶の多形によって決まるという研究をされていました。結晶多形とは、同じ物質でも結晶構造の異なる複数の結晶をもつ現象です。チョコレートを作るときに、カカオ脂のある結晶多形が出現するような条件で作ることによって美味しい食感をもつチョコレートを作ることができるというものです。専門用語でいえば、油脂の結晶化時の結晶多形制御です。私の研究でも高分子とか脂質とかいった分子の結晶多形や結晶成長を取り扱います。基礎的な部分ではつながっています。焼き芋の美味しさも食感に強く影響されると思います。食感は材料のサツマイモや焼き方によって決まるのでしょう。そこには必ずサイエンスがあります。どなたかがすでに研究しているかもしれませんね。時間があるときに調べてみます。

20210128-1.jpg 私は小学生の頃は商店街の近くに住んでおりました。下校の途中に八百屋さんがあり、そこには冬になると大きな焼き芋壺がおかれ、焼き芋が売られていました。その壺で暖をとりながら八百屋のご夫婦がにこにこ笑って「おかえり」と声をかけてくださっていました。下校中の買い食いは禁止されておりましたが、その誘惑には勝てず、友人と何度か買って食べたことが記憶に残っています。隠れて食べる焼き芋、とても美味しかったです。(先生、ごめんなさい。)

 画像は、とある方法で事務職員の方が作ってくださった焼き芋です。仕事の休憩中にいただきました。甘くて疲れが吹き飛びました。生き返りました。みなさんも、焼き芋、いかがでしょうか。

2021年1月19日

 新しい年を迎えました。新型コロナウイルス感染症、落ち着くどころか感染が拡大していますね。早く終息してほしいものです。学生にも感染拡大防止の意識を高くもち、社会の一員として責任ある行動をするように指導しているところです。

 お酒を飲むのが好きな私、昨年の4月以降はコロナ禍で外にお酒を飲みに行くのは自粛しておりますが、その代わりに週末に自宅でお酒を飲むようになりました。「五橋・わかむすめ・獺祭・東洋美人・東洋美人壱番纏・東洋美人地帆紅・鴻城乃誉・雁木・山猿・貴・ROOM・阿武の鶴・阿武の鶴むかつく・阿武の鶴折り鶴・Ohmine・山頭火・長門峡・金雀・原田・長陽福娘・三好」、これらは全て山口県内で造られている日本酒、いわゆる山口の地酒の名称です。昨年4月以降、現在までに飲んだ山口の地酒の銘柄を並べてみました。いろいろな銘柄がありますね。各酒蔵の想いが込められた銘柄なのでしょうね。私にはとても思いつかないものばかり。広く知れわたっているブランド名に特別な名称を付加して特徴を出すような工夫をしているものもあります。さらにはアルファベットを用いたものも。これらの地酒、その味はどれも個性的で美味しいのですが、それに銘柄が加わるとより個性が強く感じられます。

 味というのはそれぞれの人の感性によるところが大きいのでしょうけど、多くの人が美味しいと感じるお酒を造るためには、科学の知識や技術が必要です。それに加え、お酒の瓶やラベルのデザイン、そして、「銘柄」というのが、人の感性に響き、売れ行きを左右するものなのでしょう。

 最近、STEAMという言葉が使われます。STEAMとは科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、アーツ(Arts)、数学(Mathematics)のことです。日本酒以外でも、さまざまな製品を造るためにはまずはS, T, E, Mが必要不可欠ですが、多くの人に支持されるものを作るためには、Aの素養も必要ですね。特に、今後我々が実現すべき持続可能な社会のためにはS, T, E, Mの能力にAの素養を加えた能力が必要になることでしょう。学生の皆さんには、社会に出てからはSTEAMの素養が必要になるという意識をもって学修に取り組んでほしいです。

2020年12月23日

 2020年もあと1週間余り、春から新型コロナ禍に振り回された1年でした。感染症の様相がいろいろと明らかになってきて、感染防止対策のたて方がいろいろと見えてきたところではありますが、いずれにせよ早く収まってほしいところです。コロナ禍に加え、今年は来年度からの理学部の新学科設置の向けても忙しい1年でした。

年明けには新しい「共通テスト」が始まります。第1回目の共通テストは新型コロナウイルスの感染対策のもとでの実施となりますが、とにかく無事に終了してほしいと祈っております。さらには、山口大学理学部が新しくなります。化学科と生物学科の新しい学科の設置(正確に言えば「復活」)、新しいカリキュラムの導入です。

 画像は理学部が保有している業務上で使用する「公用車」です。野外での実習、出張等いろいろな目的で使用しますので、日ごろは山口市内や周辺市町を走り回っております。たまに県境を越え、隣県にまで出かけることもあります。せっかくなので、理学部が新しく生まれかわることを市民の皆様にお知らせするために、宣伝のためのステッカーを貼りました。かなり目立つデザインなので運転する教職員は少し恥ずかしいかもしれませんね。お見かけいただいたら是非、手を振ってください。

 2020年も「学部長のつぶやき」をご覧いただきありがとうござました。それでは、みなさんよいお年をお迎えください。2021年もよろしくお願いいたします。

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2020年12月14日

 今年も残すことあと2週間余り。ほとんど新型コロナウイルス感染拡大に振り回された年でした。今しばらく続きそうですが。

 さて、はやぶさ2、見事にカプセルを地球上に投げ返してきましたね。ナイスコントロール、ど真ん中のストライクでした。「りゅうぐう」への着陸、試料の採取、そして地球への投げ返し、とんでもなく高度な技術ですね。砂漠の中に落下したカプセルを、最後はヘルメットをかぶった人が探しに行って回収する画像を見て、なぜかほのぼのでした。人が自ら回収することで、人間がやり遂げたミッションであることを強くアピールしていたように思います。

 小惑星「りゅうぐう」の物質、予定通り採取できていればいいですね。分析が待ち遠しいところですが、来年の6月以降だということ。楽しみにしています。特に、アミノ酸や類似した有機物の存在、あるいは、その痕跡の存在が確認されたときはセンセーショナルなニュースとなるでしょう。我々人類がどこから来たのか、生命の成り立ちが解き明かされる鍵となるわけですから。今からわくわくします。試料は厳重に保管されているのでしょうね。もちろん大気に触れることのない真空中で。

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 私も研究の手法として実験・分析をしばしば行います。実験に関しては、実験を行っている最中や直後にもある程度の結果が得られることはありますが、その後、データを詳細に解析しないと得られない情報もあります。いずれにせよ、実験で測定したデータを最初に見る瞬間は「わくわく」します。学生といっしょに見た瞬間、感嘆の声をあげることも珍しくありません。解析結果をグラフなどで可視化してみるときも同じように「わくわく」です。この「わくわく」があるから研究がやめられません。宝箱を空けるような気持ちです。実験やその準備は時間がかかるし、面倒な操作もたくさんありますが、結果を知るときの「わくわく」が駆動力になります。

 はやぶさ2が採取した試料が入っているカプセルの中を最初に確認するのはどなたなのでしょうか。チームのみんなで確認するのでしょうか。とんでもない「わくわく」ですね。緊張もするでしょうね。いずれにせよ、うらやましい限りです。結果が待ち遠しいですね。

2020年11月25日

 秋も深まり、今年も残すところあとひと月余りとなりました。コロナ禍に追われた年になりました。そのような中、大学では来年度の新入生を迎える準備が始まっております。まずは入学者選抜試験、いわゆる「入試」が開始されています。最初の入試である「総合型選抜入試」はすでに終わり、合格者を発表しました。大学入試といえばメディアでは新型コロナ感染防止対策をどのように施すかが話題になりがちですが、この度からの大学入試は大きく変わることへの巷の関心が薄くなっているように思います。受験生や関係者にとっては、新しい大学入試は大きな関心ごとなのですが。
 「センター試験」は昨年度で終わり、令和3年1月からは「大学入学共通テスト」になります。すでに実施した「総合型選抜入試」は昨年までは「AO入試」として実施しました。先日は「学校推薦型選抜Ⅰ」を実施しました。1月には「学校選抜型入試Ⅱ」(共通テストを利用)を実施予定です。その後、「大学入学共通テスト」、「一般選抜」と入試が続きます。
kaiso_2.jpg 以上のような入試変更に加え、山口大学理学部は学科が1つ増え、「数理科学科」、「物理・情報科学科」、「化学科」、「生物学科」、「地球圏システム科学科」の5学科となります。5学科体制で次の時代で活躍できる人材育成のための新しいカリキュラムを開始します。この2年間、新しい学科の設置や新しいカリキュラム導入のためにいろいろなことを考え、それの内容を文章化し、膨大な書類にしました。特に、卒業生がどのような能力を身に付けて社会に出るか(ディプロマ・ポリシー)、そしてそれをどのような教育課程で身に付けてもらうか(カリキュラム・ポリシー)は時間をかけて考えました。
 作業が終わって学科設置や新しいカリキュラムが認可され、それを開始する準備作業も軌道に乗り始めた今、「学問する」ことと「能力を身に付ける」ことについて考えています。自分自身(理学部を卒業)、理学部を受験した動機は高等学校で興味を持ち始めた「物理学」を勉強したかったからです。「○○の能力を身に付けたい」という意識はまったくありませんでした。言い換えると大学で「学問をする」ために入学を希望しました。(私自身が大学で存分に「学問をした」かと問われれば、かなりの疑問が残りますが。)大学入学後も「自分はこのような能力を身に付けたい」と考えたことはありませんでした。しかし、大学を卒業して(大学院を経て)就職し、周りに助けられながらどうにか仕事をこなしてきました。さて、仕事をする能力(今現在も十分な能力は持ち合わせていませんが)はいつ身に付いたのでしょうか。私にもわかりません。
 しかし、学生たちと触れ合う中で最近、自信をもって言えることがあります。それは、学生たちは大学生活においてさまざまな能力を無意識に身に付け、さらに研究活動によりそれが強固なものになるということです。
 学生たちは大学に入り学問をする上で、自立することを迫られます。「教えてもらう」から「学ぶ」へ。そのような中、大学で学問をするうちにいろいろな能力が身に付いているのでしょう。それに加え、理系学部は研究室における研究活動をし、卒業論文を書くことを「特別研究」として必修にしている場合が多いです。特別研究における研究活動は、それまでに身に付けた知識やその他さまざまな能力をフル活用します。そこでさまざまな能力が本格的に身に付いているのは確かです。研究活動を通して学生たちは精神的にも大きく成長します。そのことの一つの証拠は、就職活動やインターンシップにおける企業さんの評価です。平均すると研究活動を経験していない学部学生に比べ、それを経験している大学院生の方が企業さん側の評価は明らかに高いです。
 学生は研究活動からかなりのものを得て成長していることは確実です。「特別研究」は学生たちの「学びの集大成」です。これは裏を返せば、我々教員の「研究指導」がいかに重要かということです。学生たちの将来をイメージし、彼らが社会に出て活躍できるような能力を身に付けてくれることを期待しながら研究指導に励む必要がありますね。そのためには、まずは学生たちが「研究は面白い」と思ってくれることが大切です。教員が学生と一緒になって研究を楽しまないと。
 最後に、理想は「学問に没頭していたら、知らない間にいろいろな能力が身に付いていたよ。」でしょうか。

2020年11月2日

 後期が始まって1か月が経過しました。今のところ無難に授業が進んでおります。あと3か月、無事に終わってほしいのですが。入試の季節も到来します。気を引き締めて。

 ご存知のように今年3月の山口大学の学位授与式(卒業式)は中止となりました。7か月が経過した1031日(土)の山口大学ホームカミングデーの日、「半年遅れの卒業式・修了式」を理学部で挙行しました。今年のホームカミングデーはすべてオンライン配信でした。そこで、4月に卒業し社会に巣立った皆さんを応援しようと「半年遅れの卒業式・修了式」を企画しました。そのまま大学院に進学をした卒業生を中心に式への出席を募ったところ14名もの卒業生が出席してくれました。式はライブでネットワーク配信し、どこにいても出席できるようにしました。オンラインで参加した卒業生やそのご家族もありました。

 当日は、袴姿で出席した人も6名いましたが。式では一人一人に特別に準備した学位記のレプリカを授与しました。一人一人の目を見ながら学位記を渡しました。皆さん、表情に嬉しさや達成感が浮き出ていました。地球圏システム科学科の卒業生の伊藤さんが卒業生代表の挨拶をしてくれました。もう一人、オンラインで大阪から参加してくれた物理・情報科学科物理学コースの卒業生の善本さんにもご挨拶いただきました。お二人のご挨拶は理学部長の挨拶よりも数段レベルの高いものでした。

 式終了後に卒業生の皆さんはとても喜んでくれました。この度の卒業式は事務職員さんの献身的な準備があって実施に至りました。感謝です。卒業生には、それぞれの新天地で頑張っていただきたいと思います。

 理学部の卒業生、頑張れ!

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2020年10月19日

今年前半は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、さまざまなところで行事が中止になったりオンライン方式での開催になったりしました。社会に出ていく学生たちの学位授与式(卒業式・修了式)も中止になりました。当時は秋くらいには終息することを予想し、代わりの学位授与式を企画してはどうかという意見を学長・理事にお伝えしました。ところが今現在も終息には至っておりません。そこで、理学部では、1031日(土)、オンラインで開始される山口大学ホームカミングデーで「半年遅れの卒業式・修了式」をささやかながら開催させていただくことになりました。この式には今年3月に卒業し、今は本学の大学院に進学している卒業生で希望する人(14)に出席していただき、私が学長の代理で学位記を授与させていただきます。大学院生の中には、この日には袴などの衣装を着て出席する予定の人もいるようです。式の模様はすでに社会に出た卒業生やご家族などにはネット配信します。

 ホームカミングデーでは「理学部の今」というビデオ配信もします。キャンパス内や理学部の今現在の風景を学生2名のナビゲータがご案内します。先日、その撮影をしました。快晴の中、正門付近から理学部まで歩きながらさまざまなスポットを撮影しました。OB/OGの皆様には懐かしい風景が盛りだくさんです。是非、ご覧ください。その他、各学科が講演会や懇談会などさまざまな企画をします。聴講や参加には事前登録が必要なものもあります。以下、山口大学のホームカミングデーのWEBサイトでご確認ください。

 山口大学ホームカミングデー(10/31(土))WEBサイト 

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当日の撮影は特命専門員の岡田さん率いる「岡田企画」 ナビゲータは3年生2名が務めてくれました

20201019-02.jpg撮影はまずは正門付近から


20201019-05.jpg吉田キャンパスマップ

20201019-04.jpg山口大学の理念

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つぎは長州ファイブのご案内

20201019-08.jpg共通教育棟(旧教養部)1番講義室

2020年10月11日

 秋ですね。中秋の名月の翌日の102日、きれいな満月がでていました。画像は普通のコンパクトデジタルカメラのオートフォーカス機能(の癖?)を用いて偶然撮影できた月です。私はカメラについては素人ですが、意外にきれいに撮れました。

山口大学では101日から後期の授業が始まりました。大学全体の今現在の授業実施方針では、可能な新型コロナウイルス感染防止対策をした上で、対面方式の授業を主として行うことになっています。理学部でもその方針のもと、感染防止対策を十分にとることができる授業は対面方式で実施しております。オンライン方式のみで実施する授業は2割程度です。今のところ、問題なく授業が進んでおりますが、感染防止対策は徹底したいと思います。学生や教員・スタッフの安全確保が第一です。

大学キャンパスは学生が戻ってきたという雰囲気で満たされています。開始するまでの準備期間、密集を避けるために当初予定していた講義室の変更、授業計画の変更等で、事務系職員と教員が連携しながらいろいろと準備してきました。戻ってきた学生たちの笑顔を見ると、準備のために溜まった疲れが少し和らぎます。

この間、主に授業や研究活動のための新型コロナウイルス感染防止対策を優先してきました。今後はそれ以外の対策もしていかなくてはなりません。遅ればせながら、ミーティングルームを兼ねている学部長室にも画像のような感染防止対策を施しました。少しではありますが、来室の皆様にも安心していただけるように。

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2020年9月23日

秋らしい気候になってきました。理学部の中庭のハナミズキが赤い実を付けました。

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ハナミズキが赤い実をつけました

 1年生が入学して早半年が経過しようとしております。コロナ禍も落ち着きつつありますが、まだ予断を許さない状況です。毎年、夏から秋にかけて、市内ではいろいろなイベントが開催されるのですが、今年は中止にされるものも多いですね。山口の夏の風物詩である七夕ちょうちん祭りも今年は中止でした。このお祭りは市内の中心部の通りに、七夕飾りのように竹につるされたちょうちんが飾られ、とてもきれいなお祭りです。せっかく縁あって山口に住むことになった山口大学の学生にも是非見てほしいお祭りです。しかし、研究室の学生に聞いてみると、半数以上の学生が見たことがないと言います。翌年の3月には卒業して山口を離れてしまう4年生に、今まで何度か最後に見に行くように薦めました。
 シルバーウィークの4連休の山口市は天気が良かったので、自転車で市内探索してみました。4月に山口で暮らし始めた1年生、コロナ禍で大学にも行くことができなかった時期もあったので、山口市内の探索などしていない人がほとんどなのだろうなあと思いながら。山口市は室町時代にはとても栄えていた古い街です。山口大学の創立時のキャンパスは市内中心部にありました。その旧キャンパスがあったすぐ近くに一の坂川という小さな川が流れています。すでに過去の学部長のつぶやきでご紹介したように春には桜がとてもきれいです。
 6月にはゲンジオタルが飛び交います。両岸にはとても雰囲気のよい古い町並みが続きます。若い人がやり始めたお店などもぽつぽつ。最近は老舗のお茶屋さんが移転して店を出されていました。抹茶やほうじ茶のアイスクリームが美味しいです。この度も寄ってみました。多くの人が来店されていました。(密を避けるために店の外で待っていました。)やり方次第では、観光客をはじめ多くの人を集めるだけのポテンシャルをもっている地域だと思います。徒歩圏内には国宝瑠璃光寺五重塔や山口カトリック教会もある亀山公園なども。中心商店街からも徒歩圏内です。地方創生、都市部のように新しいものを創ろうとするばかりでなく、今あるものを前面に出して「新しいものにする」アイデア創生も重要なのではないかと思います。もともと人が密集していない街なので、1年生もいろいろと探索してほしいものです。よいところがたくさんありますよ。

20200923-03.JPG山口市内中心部を流れる一の坂川。4月は桜がとてもきれいです。6月にはゲンジボタルが飛び交います。

20200923-04.JPG一の坂川の両岸はとても雰囲気の良い通りです。


20200923-05.JPG老舗のお茶屋さんも店を出されています。アイスクリームが美味しいです。

20200923-06.JPG国宝瑠璃光寺五重塔も徒歩圏内。

2020年9月14日

 皆さんは毎日、水を飲む習慣がありますか?ヒトにとって生きていくためには水は必須ですね。「のどが渇く」→「水が飲みたくなる」はヒトが生きていくために身に付けたもの。皆さんは水をどのようにとっていますか?食事中に水やお茶を飲んだり、休憩中に水やお茶、あるいは、清涼飲料水などを飲んだり人それぞれだと思います。

 私は、1年に1回、人間ドックを受診します。結果が出た後に生活指導を受けることもあります。そのときに、毎回「1日に飲む水の量が少ない」という指摘を受けます。11.5 L程度の水を飲んでくださいと言われます。私は食事以外、水やお茶を定期的に飲む習慣がないのです。朝は300ccの冷たいお茶を飲みます。コーヒーは1日何杯も飲みます。さらには、夜は週23日くらいでビールやお酒を飲みます。医学的にはそれではまったくの不足だそうです。コーヒーでは利尿作用があるのでだめだとも言われます。私が水を飲む習慣がないのは、おそらく、小中学生時代のクラブ活動の影響が大きいです。「練習中には水を飲まない。」という今となっては非科学的な悪しき習慣によるものだと思います。そのため、水を飲まなくても我慢できるようになってしまいました。
 今年の人間ドックの成績は昨年度よりも少し悪化しました(GPAで言えば0.1程度)。そのため、すでに遅いかもしれませんが、水を飲む習慣を身に付けようと頑張っています。ただ、私の性格上、なかなか習慣化できないと自覚し、楽しく習慣化するための方策を考えました。そこで始めたのがいろいろな水を飲んで味比べをすることです。皆さんは水の味に敏感ですか?日本は水道の水が直接飲める国です。地域ごとに水道の水の味は全く違いますね。匂いがしてまずいところ、気にならないところ。
 私が今やっているのは、身近に入手できるナチュラル・ミネラル・ウォーターを主とする飲料水の飲み比べです。画像ように周囲の人に協力いただき、いろいろなものを集めて飲み比べております。手に入る水は成分やその含有量もさまざまです。おかげさまでどうにか1日に1-1.5 Lのノルマを果たしております。しかし、味比べの方は、結論から申し上げると、さっぱり区別がつきません。たまに、少し値段の高いもので個性的な味がするものはありますが、そのあたりのスーパーや量販店で手に入るものはまったく味の区別がつきません。これが、日本酒やビールであれば区別をつける自信があります。昔、素人利き酒大会に出場し、1番になったこともあります。とにもかくにも、水を飲むことを習慣にするという目的に向かっては前に進んでいるので、まあよしとします。人間は生きるためには水が必要です。皆さんも水を定期的に飲むことを心がけ、そして、水を大切にしましょう。

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周囲の方々に協力いただいて集めた水。毎日、いろいろな種類が増えていきます。

2020年8月18日

 今年の日本のお盆は例年とはかなり様子が違っていたようですね。新型コロナ禍、大学もさまざまなところで影響があります。例年は高等学校が夏休みになるこの時期、多くの国立大学ではオープンキャンパスが開催されますが、今年は中止になったり、オンライン方式で実施したりする大学も多いようです。
 山口大学はオンラインオープンキャンパスを開催中です。理学部は89日(日)に開催しました。例年であれば、オープンキャンパスの日は多くの来場者で賑わいますが、今年は関係者のみが建物の中で運営する程度で、それは静かなものでした。
 私は当日、責任者として理学部長室で全オンラインプログラムを監視し、うまく進行していることを確認しながら、オンラインで参加してくださった多くの方々の声を聴かせていただきました。理学でも全部で20以上のプログラムを実施しましたが、それには教員はもちろん、たくさんの理学部の学生の皆様も関わってくれました。

 オンラインオープンキャンパス、今後はさまざまな大学で定常的に取り入れられるのではないかと思います。オンライン方式と実際に来学いただいて体験していただく方式のオープンキャンパスをうまく組み合わせて、本学部で学修することの魅力をうまく伝えることがとても大切になりそうです。いろいろな大学がさまざまな工夫をするに違いありません。来年のオープンキャンパスに向けて、すぐにスタートを切る必要性を感じております。

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理学部本部(理学部長室)

2020年8月4日

 夏です!前回の学部長のつぶやきを掲載した直後、山口地方は梅雨明けし、いきなり猛暑が続いております。

 昨年20191128日掲載の学部長のつぶやきの記事でもご紹介しましたが、私の徒歩通勤路に栗の木があり、毎年秋には毬栗が歩道に落ちております。本日、緑色の毬栗数個を発見しました。梅雨明け1週間、すでに早く猛暑が収まり秋にならないかなと思っています。

20200804-1.jpg通勤途中に落ちている毬栗

  さて、理系学部の多くの学生や大学院生の中には、研究活動の一部で実験を行っている人がいます。実験にもいろいろとありますが、その中には高価な最先端実験機器を使用するもの、大型の実験設備を使用するもの多種多様です。私の研究室の学生は、通常は山口大学が保有する実験装置を用いて実験をしていますが、ときどき他の機関が管理している大型の実験設備を使わせていただいて実験することもあります。
 他機関の大型設備で実験をする目的は、もちろん自身が進めている研究目的達成のための実験事実を得ることですが、それ以外にも経験を通して、学生はいろいろなことを学びます。まずは、実験を行う際に必要な安全に対する意識の一般的な理解ができます。大学内あるいは研究室内では、そこで決められた安全のためのルールの下で実験を行いますが、それは山口大学あるいは当該研究室に似合った狭いルールになっていることもあります。しかし、外部で実験を行うと、そこで定められたルールに基づいて実験を行いますので、一般的な安全に対する考え方を理解し、その意識をもつよい機会となります。
 外部で大型設備を使って実験するときには、時間が限られています。さらに、わざわざ出張して実験するため、費用(もちろん研究費から出します)がかかります。そのため、やり直しがきかないので、実験計画をたてるときには、学生と教員で極めて綿密な打ち合わせを行い、具体的な実験計画をたてるとともに、予備実験等を繰り返して臨みます。このような計画性をもって物事に臨む能力を身に付けることができます。また、実験の実施には現地のスタッフの方々のお世話になります。したがって、自分たちのやりたい実験内容を正確にスタッフの皆さんに伝え、実験に協力していただく必要もあります。ここでもコミュニケーション能力が身に付きます。
 何はともあれ、学生は最先端の大型設備や機器を使って実験することはそれなりにやりがいを感じるようです。喜んで実験に取り組みます。理系の学生は授業料の何倍もの費用をかけた実験を行うことができるというメリットもあります。
 画像はシンクロトロン放射光施設である九州シンクロトロン光研究センター(佐賀県鳥栖市)に大学院生2名と出向いて実施した実験の様子です。私の研究グループでは、今年度はこの施設を使って年間10日間の実験を行う申請が認められました。この施設で発生する強力なX線を使った実験をすることは私たちが進めている研究にはとても有効です。それが10日間も使えることはとてもありがたいことで、関係の皆様方には感謝いたしております。有益な研究成果を出すとともに、大学院生の成長をしっかりと支えていきたいと思います。

20200804-2.jpg九州シンクロトロン光研究センター
(佐賀県鳥栖市:鳥栖プレミアムアウトレットの横にあります。)

 

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BL11というビームラインを使って実験をします。右側は実験ハッチの内部です。強力なX線を使うため、X線照射中は実験ハッチ内部には立ち入ることができません。施設内にはいくつかのビームラインがあり、それぞれ別の種類の実験が行われます。

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実験操作はすべて実験ハッチの外側から遠隔操作で行います。最先端の実験設備を使用しているにもかかわらず、手作りの実験装置を持ち込んで実験します。

2020年7月30日

 今年は梅雨明けが遅いようですね。東北地方の豪雨災害が気になるところです。山口市内、本日、朝から気温が30˚Cを超えていそうです。いよいよ夏到来でしょうか。新型コロナウイルス感染が急激に増える中、そろそろそれが日常化しているような雰囲気。ここは自然科学をかじっているものらしく、自然とどのように向き合い、どのように共存するかを考えていかなければと、後期からの授業をどのような実施すべきか、悩ましい日々が続く今日この頃です。
 「学部長のつぶやき」、理学部長ですのでつぶやく記事は、みなさんに「へえー」とか「そうだったのか」のような小さな知的発見をご提供するものにしたいと常日頃から心がけております。しかし、最近はどうしても新型コロナウイルスの話題が多くなっており、いささか反省している次第です。まあ、それだけ走り回っているという状況だということですが。
 そのような中、山口大学理学部教員の中で数少ない「詩人」の一人、山中副学部長から久々に「ぼやき」をいただきました。おいしそうですね。



災禍に思う 2020 夏

梅雨長く 青空見えぬ 

いつしか 雨音やめば 蝉の音 もどる 

雲切れず 夜空もけぶる 

雨音やめば つかの間 蛙の歌に おきかわる

2020 夏 

生き物の 生命力に 安堵した  

人と向き合い 自然と対す

リベラル・アーツ 2020 秋 冬 

したたかに 後半を戦おう


 

 ところで 最近 月 お目にかかっていませんね 
 月泥棒の仕業でしょうか
 だとすれば 月がもどされ そして つきあかりが届くでしょう

  梅雨明けの 月夜待ちわび つきあかり  

                 巣篭もる夏に 旬のともし火

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 写真は山口県内で収穫された「つきあかり」という品種のモモです。月灯りと感じる素敵な色彩を放ち、惚れ惚れしてしまいました。 食卓彩る夏の果物が旬をむかえています。瑞々しく甘く、ほおばると笑み。いよいよ夏本番です!

厳格な つぶやき記事を 尻目にし 甘味に走る おひさのぼやき  

山中 明

2020年7月24日

 723日(木:海の日),724日(金:体育の日)の2日間、山口大学は授業実施日でした。巷では4連休の方々も多いようですが、山口大学の学生は授業を受けています。これは、3月末からの新型コロナウイルス感染拡大の第1波の影響を受け、学年暦を組み直したためです。
 その新型コロナウイルス感染ですが拡大しております。山口大学では、徐々に対応を緩め、対面授業を許可方式で徐々に実施していました。しかし、すでに報道され、本学のWEBサイトでも発表しておりますが、先週、本学学生1名の感染が明らかになりました。そのため、現在は授業がオンラインのみの状態に戻っています。(すでに感染拡大はなく安全であることが確保されたため、この措置は1週間で終わりになり、一部で対面授業が再開されます。)
 この度、大学の構成員で初の感染者が出たため、私も緊急対応に関わりました。その中でたくさんの貴重な経験をし、いくつかの大切なことがわかりました。「何を今さら」というべきことばかりかもしれませんが、敢えてご紹介します。
 県や市が感染情報を発表します。発表をするため、さらに感染拡大を防止し、地域の皆さんの安全確保のため、県、市の職員、保健所、職場、学校、地域等々、とても多くの方々が協力し、献身的に動いてくださっています。これについては、関係者として関わり、あらためてよくわかりました。本当に感謝です。
 緊急時には、迅速に正確な情報を収集し、それを関係機関で共有することはとても大切です。特に、この度は県、保健所と本学がうまく連携し、迅速に対応して接触者の把握や検査等を実施できたと思います。山口大学の中の部署間の連携についても、もちろん反省点・改善点は多くありますが、概ねうまくいったと思います。特に、学部間で接触者把握の情報がうまく共有でき、先手を打つことができる場面も多くありました。とにかく、あいまいな情報は、さまざまなチャンネルを使って確認し、その場で正確なものにしていく作業はとても重要です。
 次に、メディアの誤報やSNSの根拠のない情報に振り回されないことも大切です。当初、不正確な報道が一部でありました(大学のWEBサイトをご覧ください)。その報道は事実とは異なり感染者本人が傷つく可能性があるようなものでした。特にこの度の感染の経緯については、すでに報道等で明らかになっているとおり、感染者は被害者的な面があります。SNSの情報については、いうまでもありませんが、信ぴょう性に欠けるものも多くあります。
 さらに、関係者が今、最優先することは何か(感染拡大防止と安全確保)をしっかりと共有して動くこと、とても重要です。批判等はあとでゆっくりすればよく、今、すぐにやらなければならないことを集中して遂行しなければなりません。
 最後に反省点です。私たち大学教員は研究者であり、このような事態の際に、ついつい自分の専門分野のやり方に準じて考え、行動しがちです。事態を客観的に広くとらえ、瞬間瞬間でベストな対応を考えていく能力が問われます。自分自身、まだまだだと思いました。
 この度は学外の関係各所の方々にはとてもお世話になったことと思います。感謝いたします。早く、新型コロナウイルス感染拡大が収束することを祈るのみです。

2020年6月29日

 入梅し、すっきりしない天気が続いております。
 さて、私たち自然科学の研究を行っている大学人、日常さまざまなところで課題解決の場面に出くわします。研究活動はその繰り返し、それ以外でも大学・学部の運営、学生の皆さん自身のさまざまな問題。特に、学生の皆さんの課題については、学生自身の個人的な事情や将来のことなどが複雑に絡んだ難題もあります。
 その中で、自然科学の研究に携わっている私たちは、そのやり方の原点ともいえる「そもそも論」に立ち返って考えることが多くあります。特に私は物理学を専門としているのですぐに「そもそも、なぜ、そうなるの?」という考え方をよくします。少し哲学的だと思われるかもしれませんが、純粋に「そもそも、なぜ?」です。

20200629-01.JPG画像1 電柱

 例えば、画像1のような電柱があります。例えば、電柱に替わるものを考えなければならないときに、「そもそもなぜ電柱なのか?」と。電柱はもともと電気信号や光信号を伝えるためのケーブルを敷設するためにあります。最初に電柱を用いる方法が発案されたときは、ケーブルがさまざまな環境に耐え、他の障害にならないように、安全性やメンテナンスのしやすさにも考慮し、コスト等々の条件を満たす最適な解の1つだったに違いありません。さらには「電柱はそもそもなぜ垂直に立てなければならないのか?」などという疑問も。力学的安定性、地面の面積を最小限にしか使わない等々の条件を満足する解が垂直に立てることなのでしょう。ただし、垂直に立てる以外の解としてはいろいろな発想があるかもしれません。当然ですが、当初はケーブルを空中に敷設する以外の「解」も考えられたかもしれません。当時の状況では最適な解ではなかったものが、現在は最適な解になることもありますね。事実、現在、都市部ではケーブルは地下への敷設が進められています。

20200629-02.jpg画像2 自動車のサイドミラー

 その昔、自動車のサイドイラーは、今のようにドアのところではなく、ボンネットのサイドのフェンダーの上に取り付けられていました(画像2)。ちょうど私が自動車の免許を取り、運転を始めた頃、今のようにドアに取り付けられるようになりました。当時は古いタイプのサイドミラーをフェンダーミラー、今のタイプのものをドアミラーと区別して呼んでいたように記憶しています。フェンダーミラーのミラーの向きを手動で調整していた時代は、出かける前の運転席に乗った父親から頼まれ、「おい、ミラーを動かしてくれ。もう少し右。よし、ありがとう。」などというやり取りをしたものです。懐かしいと思われる方もあるかもしれませんね。さて、そもそもなぜ最初はフェンダーミラーであり、途中でドアミラーに替わったのでしょうか?そのときの経緯は気になります。インターネットの普及ですぐに答えが見つかる今は、そのようなことは話題にもならないのかもしれませんが、みんなで「何々だからかも。いやそれは違う。・・・」等々、知恵を出し合って議論してみるのもよいトレーニングになりそうですね。

 研究室の学生に研究指導をする際に、新しい実験結果を学生が見せてくれたときに私は「なぜ、そうなるのかなあ?」を連発します。学生は「また先生、難しい質問をするなあ。」と嫌がっているかもしれません。しかし、自然科学はそれが基本。純粋にそう思って学生にその言葉をなげかけています。学生は「先生は答えをしっているのでしょう。」と勘違いしているかもしれませんが、もちろん私も答えなんて知りません。いかにそれを推論するかが科学です。そのような考え方は何も自然科学だけではないと思います。課題解決法、いろいろなやり方はあると思いますが、「そもそもなぜ?」を大切にしたいものです。

 最後に画像3は今から35年前、大学生のときの私の自動車です。銀色のフェンダーミラーです。

20200629-03.jpg画像3  1985年当時の自動車