[2019/10/10] 受賞

中野敬太君、槇納吏袈さん、内田菜月さん、後藤寛貴君、大澤研斗君が日本地質学会で優秀ポスター賞を受賞

 令和最初の年、9月22~25日に日本地質学会第126年学術大会を山口大学で開催しました。本学理学部地球圏システム科学科および本学大学院創成科学研究科(地球科学)の学生5人が研究内容およびプレゼンテーションが高く評価されて優秀ポスター賞を受賞しました(写真)。優秀ポスター賞は,毎日3~5件授与されます。この受賞を励みにしてさらに精進し、今後の研究に繋げて欲しいと思います。受賞者と研究テーマは下記の通りです。

中野敬太君(博士前期課程2年生)

20191010_1.jpg「宮崎層群の熱構造」
 中野君が調査している宮崎層群は「鬼の洗濯岩」として有名な観光地です。あのきれいな地層はどうやってできたのでしょうか。彼は地層に含まれている有機物から地層が過去にうけた温度を調べました。その結果、亀裂に沿って暖かい流体が流れて、鬼の洗濯岩全体が高い温度を受けていたことを明らかにしました。堆積物は熱されると固結するので、これによって地層が硬くなり、現在みられるような、きれいな地層が残ったと考えられます。

槇納吏袈さん(博士前期課程2年生)

20191010_2.jpg「日高変成帯、音調津深成複合岩体中の泥質グラニュライトゼノリスから“ナノ花崗岩”の発見」
 ナノ花崗岩(nanogranite)とは,高温変成岩のザクロ石斑状変晶中などに、半深成岩様の微細包有物がみられる特異な組織です。2009年にインドの変成岩から発見されて以来、南極大陸やヒマラヤの変成岩からも発見されつつあります。ゆっくり冷却したはずの高温変成岩中に,メルト起源の急冷組織が存在する不思議さから,その成因論は世界の注目の的となっています。
 今回の槇納さんの研究成果は、偶然の産物ではありません。通常の薄片観察だけでなく,0.5mm未満のザクロ石のかけら一粒すら捨てずに丹念に鏡面研磨し,その中の微細な包有物まで一つ一つ観察した結果の、必然の賜物です。数μm未満レベルの微細組織までSEMで徹底的に観察・分析し、成因を考察する研究姿勢には感服させられます。優秀な修士論文が提出されると期待しています。投稿論文の執筆もがんばってほしいです。

内田菜月さん(博士前期課程1年生)

20191010_3.jpg「四国四万十帯カルサイト脈のδ13C・δ18Oからみた沈み込み帯の温度断面における流体の起源」
 内田さんは、初めての学会発表でポスター賞を受賞しました。彼女はプレート沈み込み帯の流体の起源を調べています。過去のプレート沈み込み帯の岩石がみられる四国の四万十帯で、流体の痕跡である鉱物脈の同位体を調べました。その結果、流体は決してどこか遠い謎のリザバから来ることはなく、ごく近くの岩石から浸み出てきたものである証拠を示しました。プレート沈み込み帯の流体は、海溝型巨大地震との関連で、多くの研究者が起源を知りたがっており、彼女の成果は多くの注目を集めるでしょう。

後藤寛貴君(博士前期課程1年生)

20191010_4.JPG「大分県佐伯地域のジュラ紀-白亜紀付加体における砂岩組成および砕屑性ジルコンU-Pb年代」
 後藤君は中生代のアジア大陸東縁のテクトニクスを研究しています。ジュラ紀~白亜紀にアジア大陸東縁に付加した付加体である南部秩父帯と四万十帯の野外調査を行い、砕屑岩の分析やジルコンの年代測定を行っています。それらの成果から、ジュラ紀から白亜紀にかけて砂岩組成やジルコン年代分布が変化すること、同時代の地層でもジルコン年代分布が異なることを明らかにしました。これは後背地であるアジア大陸東縁の火成作用の変遷および、流路あるいは堆積場の違いを反映している可能性があります。今後も研究を進め、まだ解明されていないアジア大陸東縁の地史を解き明かしてほしいと思います。

大澤研斗君(4年生)

20191010_5.JPG「北部九州と山口県に分布する阿蘇4火砕流堆積物に関する研究」
 大澤君は阿蘇カルデラから噴出した大規模火砕流(阿蘇4火砕流堆積物)の運搬堆積過程を研究しています。北部九州~山口県にかけての野外調査と試料の分析から、大規模火砕流が山や谷(あるいは海)を越えてどう流れたのか?をテーマに取り組んでいます。分析から、地形的高所では低地より軽石の密度が小さいこと、山口県に密度の大きな軽石が到達していることを明らかにしました。今後は大学院に進学する予定です。より多くの露頭でデータ採取する予定で、他の火砕流との比較や実験なども考えています。それによって大規模火砕流のどのようなことが見えてくるのか、今後が楽しみです。