構造相転移研究室

     教授:増山博行(238号室)   大学院博士課程:0名
     助手:笠野裕修(239号室)   大学院修士課程:1名
                         4年生    :5名

研究室概要
 物質の電気的・機械的性質は,その物質の構造に基本的に支配されている。特に強誘電体や反強誘電体においては結晶構造と物性が直接的に関係しており,これらの物質の結晶構造を精密に決定し,強誘電性等の発現の結晶構造的機構を研究することは,強誘電性・圧電性・電気光学特性を活かした機能材料を開発する上で前提となる基礎研究である。強誘電体にはセラミックスの他に、単結晶が容易にできるイオン性結晶や分子性結晶があり,新規な物質の結晶構造とその相転移の現象と機構の研究を行っている。

1.メチルアンモニウム基を有する新規な強誘電体結晶の構造相転移機構の解明
 組成式CH3NH3PbX3や(CH3NH3)2AlX5・6H2O(ここでXはハロゲンCl,Br又はI)の結晶は,CH3NH3がいくつかの配位を無秩序にとることで,立方晶や正方晶の高い対称性を示す。特に前者の結晶は室温以上で立方ペロブスカイト構造をとるイオン性結晶であり,応用上重要なチタン酸バリウムBaTiO3等のセラミックスの誘電的特性の物理的起源を理解する上でも興味深いシステムである。

2.種々の結晶の精密電子密度解析
 種々の結晶のX線回折強度を最大エントロピー法(MEM)を用いて解析し,それらの結晶中の構成原子・イオン・分子の電子密度を精密に求め,相転移等の物理現象の機構の解明を目指している。また,解析結果の可視化プログラム等の作成も行っている。

3.A2BX4型結晶のα−β転移
 組成式A2BX4で示される化合物においては,室温安定構造としてα構造(Sr2GeS4型構造)をとるものとβ構造(β-K2SO4型構造)をとるものが知られている。α構造をとる化合物の一部のものは,高温において再配列転移(α−β転移)を起こし,β構造に変化する。この転移について,現象の分析とモデルの提出・検討を継続的に試みている。

4.分子性結晶における強誘電相転移
 純粋な分子性結晶において強誘電性を示す数少ない物質であるトリクロロアセトアミドやチオ尿素の構造相転移について,X線回折法等を用いてその機構解明を目指している。

5.構造相転移のシミュレーション
 微視的モデルを構築し,原子間の相互作用のどれが本質的に働いて相転移を引き起こすのかをコンピュータシミュレーションで明らかにする。

教官からのメッセージ
 物理に興味があり,ガッツのある人を希望します。また,コンピュータに強い人も歓迎します。

主要な研究業績等
原著論文
 ・H. Mashiyama & H. Shigematsu: A Sublattice Model for the Incommensurate Transition in A2BX4-Type Crystals. Ferroelectrics (in press).
 ・H. Kasano, J. Sato & H. Mashiyama: Structural Change of the Surroundings of K+ in K2ZnBr4 Crystal on the Monoclinic-Orthorhombic Phase Transition. Ferroelectrics (in press).
 ・Y. Kawamura, N. Nitta, H. Kasano & H. Mashiyama: Thermal Motion in Sodium Nitrite: The Temperature Dependence of Debye-Waller Factors. Ferroelectrics (in press).
 ・N. Koshiji & H. Mashiyama: Disordered and Displacive Models for the Structure of the Normal Phase in [N(CH3)4]2MnCl4. J. Phys. Soc. Jpn. 69 (2000) 3853.
 ・Y. Nishijima & H. Mashiyama: Crystal Structures of [P(CH3)4]2CuCl4 in Phases I, II and III. J. Phys. Soc. Jpn. 69 (2000) 3581.
主な卒業研究テーマ
 ・アルカリハライド結晶の格子振動
 ・アルカリハライド結晶の電子密度解析
 ・電子密度の視覚化プログラムの作成
主な修士論文テーマ
 ・分子性結晶強誘電体トリクロロアセトアミドの相転移

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