物理・情報科学科 助教 堀川裕加先生

 

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堀川 裕加 Yuka HORIKAWA

 

山口大学大学院理工学研究科 助教
学域:自然科学基盤系学域(物理学分野)
学科:物理・情報科学科

 

 

インタービューアー(以下、イ):今回のインタビューは物理・情報科学科に新しく着任されました、堀川裕加先生です。よろしくお願いします。


堀川裕加先生(以下、堀):よろしくお願いします。この研究室の学生第1号となる森山君もご一緒させていただいてよろしいですか?


イ:はい、もちろんです。よろしくお願いします。


森山諒平君(以下、森):よろしくお願いします。緊張しますね。

X線を使って・・・

イ:さっそくですが、先生は主にどのような研究をされていますか?

堀:移動したばかりで、まだここでは何も始められてはいませんが、主に分光実験ですね。

今年は出張実験を行います。

イ:それは何処に行かれるのですか?

堀:兵庫県です。以前私は、理化学研究所の播磨事業所に居たのですが、そこに設置されている「SPring-8」という大型放射光施設で研究をしていました。


森:先生、その施設は兵庫県の人里離れた山の中にあるんですよね。

堀:そうなんです。小高い山のトップを削って、そこにリング状で建っています。その施設でX線などの放射光を作っていて、それを使って実験を行います。

イ:X線を使って研究ですか?

 

堀:はい。物を調べる時に私たち人間は、目で見て観察する方法が一番分かりやすいですよね。しかし、目で見える大きな世界はこれで良いですが、小さな原子の世界になると光学顕微鏡でも見えません。そこで私たちは光を当てて反応を調べることで、その原子や分子がどんな構造や電子状態をしているのかを間接的に調べています。具体的には試料にX線を当てて分子を光らせて、その光りを詳細に観察することで、分子の変化を検出しています。

 

イ:X線ってレントゲン以外にも使用法があるのですね。

 

堀:そうですね。私たちは軟X線という光を使用します。たぶん一般の方はあまり聞いたことがないかと思います。


イ:初めて聞きました。軟X線?一体、何が軟らかいのでしょうか?

画期的な研究

イ:理化学研究所ではどんなことをされていたのですか?

 

堀:はい。当時、もう少し画期的な研究をしようと考えていて、水の中に溶けたアミノ酸を調べたいなと思ったんです。人間の体は60%の水でできていますよね。その中でタンパク質が合成されたりしていますが、その反応は水、H2Oがないと動かないことが分かっているんです。例えば、乾燥したものって腐らないでしょ?それは反応が起こらないからです。体内の中で動くには水がいないといけない。でも、水が化学結合するわけでもなく、ただ水が周りにいるだけで動ける。タンパク質が反応できる。それって水からどういう影響を受けているのだろう?ってことが一番知りたかったところだったんです。

 

イ:では、タンパク質を調べたのですか?

 

堀:いいえ。本当はタンパク質を調べたかったのですが、最初は難しいのでもっともっと小さい簡単な分子で調べようと思い酢酸分子を使って調べることにしました。まず、酢酸水溶液は酢酸CH3COOH、水H2Oの混合物ですね。両方に酸素分子Oが入っています。今までの常識からすると、両方X線が励起してしまって分離できない可能性があるから、やっても難しいと思われていたんです。でも私たちは、そこを突き詰めてなんとか酢酸だけの情報を出すことに成功しました。

堀:そうですね。一番解明したいのは、水の中でタンパク質などがうまく反応できるのはなぜだろう?っていうところですね。水分子との相互作用についてこれからずっと探っていきたいと思っています。

 

目標

イ:これまでのお話を聞いていると先生の分野は物理学なのに、まるで化学のお話を聞いているようですね?

堀:分光器を作る段階では物理の知識を使います。実際に使っている内容は化学に近いかな。分析機器なので、そういう面もありますね。

イ:とても素晴らしい装置だと思うのですが、先生が今後目指すものは何ですか?

堀:これまでたくさんの費用と時間をかけて手法開発をしてきたので、広く一般的に使える手法までブラッシュアップしていきたいと思っています。まず大学の基礎研究で使える形にして、産業界などの検査で使用してもらえるころまでもっていければ嬉しいですね。ただ、今は手探りの状態で、基礎データをコツコツ作っている段階です。

イ:では、これから何ができるのか?何に使えるのか?を探ってやっていくわけですね。



理化学研究所に勤められた経緯

イ:先生が理化学研究所に勤められた経緯を教えてください。

 

イ:そんなに数が少ないのですか!?驚きです!手軽に実験はできないですね!

熊出没注意!?

イ:今後、森山君もその「SPring-8」に行って実験をするのですか?

堀:はい。軟X線じゃないと分からないところを調べてもらうというドンピシャの課題を用意しようと思っています。


イ:森山君は今どんなことをされているのですか?

 

森:うわぁ---!失敗ができないですね。自分のやりたいことが時間内にできなかったらって思うと不安です。


堀:100%できるわけではないからね。ここまでのデーターを取る。できればこっちの情報も取れたら良いな。って優先順位をつけて行くんだよ!でも大概うまくいかないです。トラブルはたくさん起こります。ま、実験はこんなもんですね。

森:下準備して、優先順位を決めて・・・これからやらなければならない事がたくさんありますね。頑張ります!

堀:はい。あ、あと山奥なので不審者や窃盗団の心配はないですが、熊やいのししには注意ですよ。秋に行く時は熊よけの鈴を持参したこともありました。

森:え?ちょっと待って下さい!熊が出るんですか!?なんでそんな所に施設があるんですか?


 

森:堀川先生のお話を聞いて、すごく興味があったんです。僕は高校の時から化学が好きで、化学系のことがやりたかったんです。分子の構造だとか結合だとか…そういったことがすごく好きなので、ここで研究がしたいなって思って来ました。

 

堀:実は学生の配分が決まった後で、野崎先生が「興味がある人は移動して良いよ!」って学生さん達に声をかけてくださったんです。それで森山君が私の研究室に移って来てくれたんです。来年この研究室にたくさんの学生さんが来てくれると嬉しいですね。楽しそうって思っていただけるようにいろいろと頑張らないとね。

 

森:たくさん入ってくると思いますよ。大丈夫です。大丈夫!5人くらいは来ますよ。

 

堀:あははは(笑)何で?何で5人なの?その数字はどこから?

 

森:後輩に声かけます!楽しいよ♪先生優しいよ♪おいでって。僕、みんなから「お前は堀川先生でいいよなぁ~」って羨ましがられるんですよ。だから「いいだろぉ~」っていつも自慢しています。

イ:それはみなさん羨ましいでしょうね♪

 

理系に進んだきっかけ

堀:小学校の頃から何でも興味があって、アニメに出てくる○○博士っているでしょ?何でも知っていて、科学技術で色々な物を自分で作っていてとても楽しそうに見えたんです。博士ってかっこいいな~。って小学校の頃ぼんやりそう思っていました。中学校では、理科が面白かったですね。高校で分野選択があった時に物理を選択しました。高校の物理って、完成しているもので、簡単な数式で表されて完璧なものじゃないですか。それがその頃の自分に合っていましたね。簡単な数式で説明できる!これは面白い!もっと先を勉強したい!って思って大学に進学しました。ん~、直接のきっかけというと、高校の物理が面白いと思ったからですかね。その後、実際の世界では綺麗に説明できないことの方が多い事を知って、また違う面白さに出会いました。

イ:理系の家系だったのですか?

堀:いいえ、違います。どちらかというと親は文系なんです。しかし算数にしても少し難しい問題を先に教えてくれたり、それができたら誉めてくれていたので、楽しいなって思っていました。分からないことを聞くと、辞書を引っ張り出してきて何でも調べてくれていましたね。その姿勢を見せてくれていたので、今思えばそれが大事だったのだと思います。まず、何でも知っていると思っていたお父さんでも知らない事ってあるんだなって知ったんです。じゃあ分からなかったら自分で調べれば良いんだなって思いました。それが後の研究に繋がったと思っています。だから今では親に感謝ですね。

イ:なるほど。子供に「何で?」って聞かれて「何でだろうね?」って誤魔化してはいけないですね。一緒に調べて、その調べる姿勢を見せることが大事ですね。そうやって子育てをしていかなければならないですね。

ママは大変

イ:子育てのお話になりましたが、先生はまだ小さなお子さんがいらっしゃるとお聞きしました。

堀:はい。今やっと2歳になった娘が1人います。

イ:お仕事と子育ての両立はどうされていますか?

堀:「保育園さまさま」ですね♪朝は8時半までに連れて行って大学に来ます。帰りは18時までにお迎えに行きます。延長保育だと19時まで預かっていただけます。給食なのでお弁当もいらないんです。

イ:時間帯的にも、それはとても働きやすいですね。

堀:はい。自宅も保育園も大学から近い場所を選びました。小さい頃ってよく熱を出すんです。高熱が出ると保育園では預かれない決まりになっているので、電話がかかってきたら直ぐに迎えに行ける近距離を選んだんです。
去年は大変でした。山の上のSPring-8に居るので、熱があるから迎えに来てください!って連絡があっても迎えに行ってそこから病院に連れて行くまでに時間がかかっていましたからね。だから今はとても楽です。体もだいぶ丈夫になってきたので病気もほとんどしなくなりましたし。

イ:職場から保育園が近いって重要ですね。先生のご主人も大学の教員だとお聞きしました。

堀:はい。同志社大学で教員をやっています。

イ:え?ということはお子さんと2人ですか?

堀:はい。娘と2人暮らしです。

イ:この春から単身赴任ですか?

堀:いいえ。もっと前からなんです。主人は同じ大学の方だったのですが、別々の大学の大学院に進みそれぞれドクターを取得し研究員になって・・・結婚後、主人の就職先が京都の立命館大学に決まって、すぐに子供を授かったので、育児休暇で1年間だけ滋賀で3人で暮らしていました。育児休暇が明けて私はSPring-8に戻りました。

イ:旦那さんは京都で先生と娘さんは兵庫県だったのですね。泊まりの実験がある時はどうされていたのですか?


堀:その時は、主人の母が福岡から兵庫県まで来てくれてお迎えからお風呂、ご飯、寝かせつけまで全てやってくれていました。私の実家は下関で、こっちに来てからは両方の親が近くになったので気持ち的にも安心です。周りの方に助けられて、子育てと仕事の両立ができていますね。

イ:そうですね。子育てはまだまだこれからが大変ですね。頑張ってください。

理系を目指す女の子へ

イ:では最後に、これから理系を目指す女子中高生に向けてメッセージがありましたらお願いします。

 


イ:今後、理系の女性教員が増えると良いですね。今日はありがとうございました。


おまけ

森山君が勉強をしているという学生部屋を見せていただこうと部屋を出ると・・・お隣の部屋の野崎先生(以下:野)にバッタリ出会いました。

 

野:あれ?何?どうしたの?

 

イ:堀川先生にインタビューです!


野:インタビュー!?今回、僕は参加しなくて良いの?このコーナー、僕の研究室には来てないけど登場回数多いんだよね(笑)いつでもどうぞ~♪

 

 

5月21日、野崎研vs末竹研のソフトボール対決が行われました。
イ:いかがでしたか?

堀:1勝1敗で引き分けでしたね。私も代打で1打席立たせてもらいましたよ。結果はピッチャーゴロでした。
夕方開始だったので、娘を保育園に迎えに行って、そのまま試合会場に連れて行ったんです。

イ:先生が打席に入っている時は、誰が子守をしていたのですか?森山君?

堀:いえ。森山君は・・・彼を見るなり娘は泣いていました。なので、野崎研の女の子に抱っこしてもらって見てもらっていましたよ。

森:そうなんです。僕、泣かれちゃったんですよ(泣)


森:野崎先生は的確な判断で、選手交代のタイミングもとても良くて全員が出れたし、采配がお上手でとてもやりやすかったです。

 

 

インタビュー:2015年4月24日

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