MENU
 

[2017/3/16]第8回理学部講演会

染色体の高次構造や動きの解析で見えてくる新しい染色体機能発現機構について(上野勝:広島大学)

イベント詳細

日時

2017年03月16日
15時00分 から 16時00分 まで

場所

理学部11番講義室

連絡先名称

宮川 勇

連絡先電話番号

5716

カレンダーに追加

要旨:

染色体は細胞核の中で高次構造を形成し、それが染色体の機能発現に重要な役割を果たしていると考えられている。分裂酵母では、セントロメアや染色体末端(テロメア)は核膜に結合し、それが染色体の高次構造維持や機能発現に貢献している(1)。さらに染色体の動き(運動)も染色体の機能発現に関係していることもわかってきた。しかし、どのような要因が染色体の動きを制御するのかはほとんど分かっていない。

そこで、我々はどのような因子が染色体の動きに影響を与えるのかを調べるために、生きたままの分裂酵母のセントロメアやテロメアの動きを、蛍光顕微鏡観察を用いて観察し、そのデータをトラッキングすることで、セントロメアやテロメアの動きを定量化した。高グルコース(10%)や低グルコース(0.04%)培地などを用いて観察・解析を行ったところ、セントロメアの動きは高グルコースに比べて、低グルコースで著しく低下した。このことからセントロメアの運動は、細胞外グルコース濃度に依存することを発見した。一方で、テロメアの動きは高グルコース、低グルコースでもほぼ同じ値を示した。セントロメアの動きはATP阻害剤で著しく低下したのに対して、テロメアの動きはATP阻害剤の影響を部分的にしか受けなかった。これらのことから、テロメアとセントロメアの動きは、それぞれ独立に制御されていることがわかった。さらに栄養豊富な培地に比べて、栄養が乏しい培地のほうが、セントロメアとテロメアの動きが大きいことも発見した。本発表ではこれらの運動の意義について議論したい。

真核生物の染色体は線状であるが、ある種のがんや遺伝病患者には、環状染色体が見つかる。染色体が環状化すると、染色体の高次構造や動きに大きな影響を受けると思われるが、それらの影響はほとんど研究されていない。分裂酵母は染色体末端を保護するタンパク質Pot1の機能を欠損すると、3本全ての染色体が環状化した株が生き残る。そこで、我々は染色体が環状化した分裂酵母の生育に影響を与える遺伝子を探索、解析することで、染色体環状化による高次構造や動きの変化の影響を解明してきた(2)。本発表では、DNAダメージチェックポイント因子である9-1-1複合体が、DNA複製が阻害される条件で、環状染色体の維持に重要な役割を果たすことを発見したことについて紹介する。環状染色体という特殊な状態に注目することで、これまで見えなかった染色体機能発現機構を浮き彫りにしたいと考えている。

 

参考文献

1.  Sci. Rep. 2016. 6:18757. A diffusion model for the coordination of DNA replication in Schizosaccharomyces pombe. Pichugina T, Nurse P, Ueno M, O'Sullivan JM. その他8名.

2.  Mol. Cell. Biol. 2013. 6:1175-87. Fission yeast RecQ helicase Rqh1 is required for the maintenance of circular chromosomes. Nanbu T, Ueno M. その他8名.

サイトポリシー
  • Copyright 2011 山口大学理学部 All rights reserved.