2021年4月30日

 水平線に近い位置の月がとても大きく見えるという経験をした人は多いと思います。「山などの比較対象物があるため錯覚で大きく見える」というのが理由だそうです。しかし、あきらめの悪い私は、「測ってみればいい」と意地になって家にあるものだけを使って測ろうとしたことがあります。
 人類は紀元前からいろいろな工夫をして量を測定する方法を確立してきました。その成果については教科書などにも書かれていますので、ここで説明するまでもありません。とにかく先人たちの頭脳と工夫には驚かされますね。現在、量を測定することは、日常、いろいろなところで行われます。さまざまな機器やセンサーが開発され、たくさんの測定データが簡単に得られるようになってきました。
 自然科学の研究の多くの場面で実質的な研究が量を測定することからスタートします。今現在は、先進機器を導入して“適切に測定しさえすれば”質のよい測定データがたくさん得られます。先進機器にも安価なものもあり、とにかく多種の膨大な測定データが得られる時代になりました。
 ただし、測定データが得られればそれで終わりではありません。そのような多種多様な膨大な数のデータから得たい情報を取り出すことが必要です。その作業には今までの伝統的なやり方は通用しません。新しい手法を導入しなければデータを有効活用できない時代になっています。当然、コンピュータがよい道具になります。いわゆる(広い意味での)「データサイエンス」と総称されるものです。私たち研究者も新しい手法を導入しないと先進的な研究に取り残される時代になりました。研究以外でもデータサイエンスの手法はどんどん導入されています。コロナ禍の今、威力を発揮しているようですね。このような時代に乗り遅れないように、理学部も今年入学した1年生からデータサイエンス系の授業科目をカリキュラムに導入しています。数量を適切に取り扱って情報を取り出す能力、「数量的スキル」は重要です。

20210430-01.jpg 話は変わりますが、私は簡単な実験機器を自作することがたまにあります。自分のやりたい測定がそのままできるからです。昔の研究者はみんなそうだったと思います。完成させて試験的に使うまでがとても楽しく、今の私には、工作がストレス解消にとてもよい作業です。学生は私の作品を使って実験をします。今の時代の学生は自分で器具を製作するという発想があまりないようです。というわけで学生にも工作を楽しむ経験をしてもらうこともあります。それがきかっけとなって実験装置の製作に夢中になる学生もいます。それでよしです。データサイエンスの手法を使うにも信頼できるデータがとれなければ話になりませんので。